犬に梨を食べさせても大丈夫!
秋を代表する果物の1つの梨は、シャリシャリッとした食感が美味しいですよね。
先に結論をお伝えすると、完熟した梨なら犬に食べさせても大丈夫です。
完熟梨の果肉部には中毒を起こすような成分が含まれていないので、愛犬ちゃんにおすそ分け程度に食べさせても問題ありません。
ただし、未完熟の梨には自然毒が入っているので食べさせないでください。
今回は、梨にはどんな栄養があるのか、犬に食べさせるとどのような健康効果が期待できるのか、注意点も併せてお話しします。
梨に含まれる栄養成分と犬に期待できる健康効果
梨はバラ科ナシ属の果物で、「幸水」や「豊水」、「長十郎」など多くの品種があります。
梨の88%は水分で、多種類の栄養素や成分は含まれていないものの、特徴的な成分として、アスパラギン酸やカリウム、葉酸、食物繊維などが挙げられます。
ちょっとした水分補給に
犬の体は60%程度が水分で構成されており、軽い水分不足になると代謝が低下したり内蔵への負担が増えたりすることがあります。
梨の水分は、夏バテや遊び過ぎて水分を十分に摂れていないときの、ちょっとした水分補給となります。
もちろん、水を飲めない状態に陥っているときは、脱水症状やなんらかの病気が考えられるので、あくまでも健康な愛犬ちゃんへの水分補給としてください。
アスパラギン酸で疲労回復
梨には、アミノ酸の1種のアスパラギン酸が、100gあたり140mg含まれています。
ドライフルーツや塩漬けを除いた生の果物のなかでは、18番目の含有量です。
といっても、アスパラギン酸を大量に含む肉類と比べれば、1/15程度、野菜類と比較すると1/10~1/4程度と、さほど多くないことも知っておいてくださいね。
アスパラギン酸はアンモニアの排泄を促す働きを持っているため、犬のエネルギー代謝を高めるほか、疲労回復効果や利尿作用などが期待できます。
カリウムで塩分濃度調整や老廃物を排泄
梨には、ミネラルの1種のカリウムが、100gあたり140mg含まれています。
生の果物のなかでの順位は82番目と決して多いほうではなく、柑橘類と同程度の含有量です。
ちなみに、生の果物として断トツにカリウムを多く含むのはアボカド ですが、以前お話ししたように、アボカドには中毒成分が含まれていることがあるため、犬には食べさせないほうがよいことで知られています。
カリウムには、塩分濃度調整による高血圧予防や、利尿作用、疲労回復効果が期待できます。
食物繊維でお腹の環境を整える
梨は、水に溶けやすい水溶性食物繊維と、水に溶けにくい不溶性の食物繊維をバランスよく含んでいます。
粘着性を持つ水溶性食物繊維は胃の中に長く留まるので、腹持ちがよくなって食べ過ぎ防止に役立ちます。
また、食後の血糖値の上昇を緩やかにする効果が知られています。
一方、不溶性食物繊維はボソボソ・ザラザラしていて、胃や腸で水分を含んで大きく膨らみます。
その結果、腸壁を刺激して食べ物を移動させる「蠕動(ぜんどう)運動」を盛んにし、お通じをよくする効果が期待できます。
犬に梨を食べさせる際の注意点
未完熟の梨は犬に食べさせないで!
未完熟の梨は犬に食べさせないでください。
未完熟の梨には、自然毒のアミダグリンという物質が入っていて、体内に取り込まれたあとに「シアン化水素」という猛毒を産生させるからです。
スーパーなどの店頭で販売されているものは、ほとんど完熟に近い状態もしくは完熟しているので大丈夫ですが、犬連れで梨狩りに行ったときは拾い食いなどに注意してください。
梨の軸が茶色くなっているかを確認し、まずは飼い主様が梨をひと口食べて、完熟度合いを確認しましょう。
梨の芯を除去して食べさせる
シャリシャリッとした食感の正体は、細胞壁が分厚くなった「石細胞(せきさいぼう)」です。
梨の果肉全体に存在する石細胞は人間の胃腸では消化できないので、犬にとっても消化が悪い可能性があります。
少量の梨であれば、腸壁を刺激して便秘を解消する効果が期待できますが、たくさん食べ過ぎると下痢や胃痛などを起こす可能性も。
特に、梨の芯に近いところは固いので、包丁でしっかり除去してください。
梨の食べさせ過ぎに注意
梨に含まれるカリウムには老廃物を排泄する働きがあるため、愛犬ちゃんのオシッコの量や回数が増えることがあります。
さらに、愛犬ちゃんに梨をたくさんあげ過ぎれば、消化不良や下痢、嘔吐する可能性があるため、ひと口程度に留めましょう。
かじらずに丸飲みしやすい愛犬ちゃんなら、梨をすりおろしてから食べさせれば安心です。
犬に梨を食べさせてもよいのか?まとめ
梨は、水分や少量のアスパラギン酸、カリウム、食物繊維などを含んでおり、ちょっとした水分補給や疲労回復、塩分濃度調整、腸内環境を整えるのに役立ちます。
梨にはうっすらした甘味もあるので、愛犬ちゃんが「おかわり」をねだるかもしれませんが、あくまでも1日の食事量に影響のない範囲内で食べさせましょう。
愛犬ちゃんを連れて梨狩りに行く際は、食べさせる梨が未完熟ではないか、落ちている梨はないかなど、安全面を確認してくださいね。