犬にパイナップルを食べさせるのは条件付き
「うちの犬、パイナップルが好きなのよね~」「え!犬ってパイナップルを食べれるの?」
飼い主様同士でこんな話題で盛り上がったことはありませんか?
パイナップルには食物繊維やビタミンCなどが含まれていますが、はたして犬にパイナップルを食べさせてもよいのでしょうか。
パイナップルには中毒を起こすような成分は入っていませんので、犬にパイナップルを食べさせても大丈夫ですが、注意したい点も多々あります。
それではパイナップルと犬の関係について見ていきましょう。
犬にパイナップルを食べさせるとどんな効果があるの?
パイナップルの特徴的な成分として、食物繊維やビタミンC、ブロメリン、マンガンなどが挙げられます。
それぞれ、犬によい効果をもたらすものの、注意すべき点もあるのです。
犬にパイナップルを食べさせる際のメリットとデメリットを把握しておきましょう。
食物繊維で便秘改善
パイナップルにはスジがたくさんありますよね。これが水に溶けにくい“不溶性食物繊維”で、水に溶けやすい“水溶性食物繊維”の14倍も含まれています。
犬がパイナップルを食べると、不溶性食物繊維が物理的に腸壁を刺激し、便秘を改善してくれます。
とは言え、食物繊維を過剰に摂取すると、下痢や軟便の原因となるので注意してください。
ビタミンCで健康維持
パイナップルにはビタミンCが豊富に含まれています。犬は体内でビタミンCを合成することができますが、高齢犬や服薬中、過度な運動、精神的ストレスなどにより不足することがあります。
ビタミンCは “コラーゲン”を作るために不可欠なビタミンで、犬の皮膚や関節・骨の形成、傷の治癒、免疫力向上に役立ちます。
しかし、ビタミンCを極端に過剰摂取すると、下痢や軟便の原因となるので注意が必要です。
ブロメリンで消化をサポート
パイナップルにはタンパク質を強力に分解する、ブロメリンという酵素が含まれています。
ブロメリンは肉や魚といったタンパク質の消化をサポートするので、消化不良を予防して腸の環境を整える効果があります。
ただし、ブロメリンは口の粘膜を刺激するので注意が必要です。
マンガンで骨格形成正常化
パイナップルにはミネラル類の1つ、マンガンが豊富に含まれています。その量は果物の中ではトップクラスです。
マンガンは脂質やタンパク質などの代謝に関わるほか、骨や軟骨の形成、繁殖能力や神経機能を正常に保つ働きを持っています。
バランスのとれたドッグフードを食べている場合は欠乏することはなく、過剰摂取の心配もほとんどありません。
パイナップルの缶詰なら食べさせてもよい?
パイナップルの缶詰は、加熱によってブロメリンの働きがなくなるため刺激はありませんが、同時にビタミンCも喪失しています。
さらに、缶詰のパイナップルの糖分やカロリーは、生のパイナップルに比べて1.5倍以上もあるので、食べさせ続けると肥満の原因になりかねません。
缶詰のパイナップルを食べさせても、犬の健康増進につながりにくいので食べさせないほうがよいでしょう。
パイナップルのアレルギーにも注意して!
愛犬ちゃんにパイナップルを食べさせたあと、吐くことがあったり目が充血したり、体を掻き出したりしたらアレルギーの可能性があります。念のため動物病院で診察してもらいましょう。
ほかの食べ物でアレルギー反応が出たことがある場合は、パイナップルも食べさせないほうが無難です。
犬にパイナップルを食べさせると食糞が治る?
“犬の食糞にパイナップルが効果的“という話を耳にしますが、その根拠となるデータはほとんどありません。
パイナップルの酵素が補給されることで、犬の食糞が改善する可能性はありますが、根本的な原因を見直さない限り難しいのではないでしょうか。
食糞の原因は、ストレスや病気、栄養が足りていない、ウンチをしたときに怒られた、など様々な原因が考えられます。
食糞を直す目的でパイナップルを食べさせ続けることはリスクが高いので、まずは環境や食事を見直すことをおすすめします。
あえて犬にパイナップルを食べさせる必要はない
生のパイナップルには健康維持に有益な成分が含まれているものの、食べさせ過ぎると消化不良や下痢を起こすのでたくさん与えてはいけません。
犬にパイナップルを食べさせる場合は、芯を取った果肉部のみを細かくカットしてから、少しだけ与える程度がよいでしょう。
タンパク質分解酵素のブロメリンの効果を期待するなら、食前ではなく食後のデザートとして食べさせてください。
ただし、ブロメリンは人間でもビリビリとした刺激を感じるぐらいなので、あえて愛犬ちゃんにパイナップルを食べさせなくてもよいのではないでしょうか。